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クラシック音楽業界のCD制作で、数多くの一流アーティストや海外のオーケストラと一緒にお仕事をされている竹村正人氏。シドニーのオペラハウスでの録音や、劇場版のだめカンタービレにおいてオーケストラや音楽シーンのコーディネートまでと幅広く活躍される竹村氏に、VAZIOを体験してもらいました。さて、プロの耳にはどう判断されるのか?!

J-Store:本日はお忙しいところ、ありがとうございます。早速ですが、今回、VAZIOのT-3にオリジナルCDプレーヤー「T-3CD」が発売となりました。竹村さんご自身が録音したCDを聞いてみてください。
竹村:では、まず「マーラー:交響曲第9番」を聞いてみましょう。以前、iPodでの音は聞いたことありますけど、CDだとこの商品のポテンシャルがもっと生かされているように思います。真空管アンプのせいか、音の柔らかさと素性の良さはしっかりと存在しています。出音(でおと)が下品じゃないから、長く聞いていても疲れない。仕事のとき、編集スタジオでは、GENELECのモニタースピーカーを使用しているので、それと比べるとおとなしい、という印象です。録音したホールのスケール感は感じられないけど、家にこれあったらいいですね。素性がいい(笑)。
J-Store:他のCDもお聞きになりますか?
竹村:では、「デュオ・ディ・バッソ」を聞いて、それから「ラフマニノフ:楽興の時」を聞いていいですか?僕はもともとピアノを勉強していたので、コメントがシビアになるかもしれません(笑)。
J-Store:緊張しますね。お手柔らかにお願いします。ではCDをかけます。
竹村:低域は思ったより全然いいですね。まともです。デュオ・ディ・バッソでのコントラバスとチェロのバランスと低域の量感はいい感じです。ピアノを聞くと分かってしまうんですが、高域の伸びがもう少しだけ欲しい。かなり音量を上げると、ピアノの倍音がちょっと気になります。私も録音や編集作業の際には気をつけていますが、アンプやスピーカーによって、聞こえてくる音は変わってきますからね。真空管アンプT-3で聴くと、こう聞こえるのかと、むしろ勉強になります。T-3は音楽と対峙して聞くというよりも、ゆったりと大人の時間を愉しむにはいいオーディオだと思います。
J-Store:発売当初から、団塊世代の人でiPodを所有している人に体験してほしいという思いを込めて、企画・販売をさせていただきました。
竹村:なるほど。ただしオーディオに本当に詳しい人は、もっと (CANTONのフロア型スピーカー:VENTO 890DCを指して) そちらのスピーカーなどを検討した方がいいでしょう(笑)。でも、自宅で自分の趣味として所有するのであれば、T-3は佇まいもいいし、分かる気がします。プリ・メインのフル真空管の魅力は、年をとってきたせいか、魅かれるものがあります。このサイズでフル真空管アンプって他に販売されていますか?
J-Store:このサイズと価格のコンポーネントというスタイルでは、VAZIO以外に見当たりません。因みに、ブラウンとホワイトどちらがお好みですか?
竹村:私の好みはブラウンです。あ、このフロントパネル無垢の木なんですね?
J-Store:はい。ホワイトも塗装をしているだけで、無垢の木材を使用しています。
竹村:なるほど。この商品はもっとみんなに知ってもらうべきですね。

T-2は、アンプもスピーカーもアルミ筐体で作られたiPod対応真空管アンプ。Pioneer: BDP-430で映画を鑑賞していただきました。
J-Store:では、映像と併せてT-2を使ってみますね。(デジタル放送のテレビドラマが出力されるや否や…。)
竹村:いやっ…これはびっくりしました。一回、体験すると、テレビだけでの音では物足りなくなるかもしれませんね(苦笑)。真空管アンプなので、音楽を聴くものとして捉えていたけど、ここまで映像ものにマッチするとは。
私の父親もエコポイントをきっかけに薄型テレビに買い替えました。年齢のせいもあるのか、むやみにリモコンで音量をたっぷり上げて、音が只々ワンワンしている中で聞いている(苦笑)。T-2だったら、各音の分離も粒立ちがはっきりしているから、音量を上げていっても、ナレーションもちゃんと聞こえる、同時に臨場感も出てくる。効果が実用的で良いですね。
J-Store:では、次に映画を見てみてください。(モンスターズ・インクとパイレーツ・オブ・カリビアンを鑑賞いただきました)
竹村:私はクラシック畑の人間ですから、音楽を聴いているときは、正直、このアルミ材の音やチューニングの作りこんでいる方向性が「硬いな」と思っていました。まぁ、J-POPやRockなど押し出し感のある音を求める人にはいいかもしれないな、と。
ところが、コンテンツがデジタル放送になったら、この硬質感とスピード感がいいとしか言いようがない…。真空管だからなのか、ただ硬いだけではなく、効果音の生々しさと音の拡がり感も生きてきますね。
J-Store:では、マトリクス・サラウンドも聞いていただけますか?
竹村:リニアPCM(2ch)の音源でこのような聞こえになるとは。当然ですがサラウンド成分が加わることで「空間」が生まれますね。普通に家で楽しむ分には、これだけで充分でしょう。サラウンド成分に気をつけないと、音がブライトな分だけ、”にわとり小屋”のようになりますが、ほんのりとサラウンド成分を足すくらいが実に心地よい。個人的な意見ですが、マトリクス・サラウンドも音楽よりも映画鑑賞やドラマ鑑賞に向いていると思います。この形態で商品化はされているんですか?
J-Store:こちらはまだこのショールームと一部のオーディオ専門店だけで体験いただける環境です。商品化はまだしておりません。
竹村:なるほど。東京ですとここだけで体験できる、ということですね。

竹村:「マーラー:交響曲 第5番」と「ラフマニノフ:楽興の時」を聞いてみていいですか?
…なるほど。やっぱり音楽を聴くと、仕事の耳で聞いてしまうのでシビアですが、若干、高域が詰まっていますね。もっと音が伸びてほしいなという箇所で来てくれない。たとえばピアノで言えば、弾いたときに弦の振動が聞こえてほしいんですが、それがやや弱い。私からするとそこがちょっとだけ残念。この価格の商品にしては充分ですけどね(笑)。オーケストラでは、よく言えば管も弦もほどよく混ざっている。試しに他のジャンルを聞いてみたいですね。
J-Store:では、J-POPにしてみましょう。
竹村:…なるほど。押し出し感と瞬発力あるから、ポップス・アレンジの楽曲ならちょうどいいですね。若い人でもこういう音を好む人は、割と多くいると思います。真空管であることで、これまで聞こえなかった音も聞こえるなど、新しい発見が期待できます。

J-Store:因みに最後にCANTONのErgo620を聞いてみてください。
竹村:おっ?! これいいですね。録音現場のシドニー・オペラハウス(コンサートホール)の前から1/3くらいの席だと、ちょうどこういう音ですよ!音を聞いているというよりも音楽を楽しめる感じです。これはもう発売していますか?
J-Store:はい、発売されていますので、よかったら使ってみてください。今日はありがとうございました。
竹村:こちらこそ、楽しい時間でした。ありがとうございました。

(株)オクタヴィア・レコード
音楽制作事業部 第一制作グループ
ディレクター
竹村 正人
武蔵野音楽大学大学院修了。ピアノを斎木隆、加藤隆之、田村明子、エレーナ・アシュケナージの各氏に師事。2002年より株式会社オクタヴィア・レコードにクラシック音楽CD制作アシスタントとして入社。 現在、同社レコーディング・ディレクターとしてウラディーミル・アシュケナージ、ズデニェク・マーツァル、清水和音、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、シドニー交響楽団等、国内外のアーティストと数多くのCD制作に携わっている。最近では、劇場版のだめカンタービレのオーケストラ、コンサートホールの現地コーディネート等も手掛けるなど多方面で活躍。


日時:2011.1.14
場所:
CAV Japan
ショールーム
Interviewer:
佐藤俊一